COLUMN
なぜ選手は「ある日突然」うまくなるのか
練習しているのに、変化が見えない。
その時期に何が起きているのかを、お伝えします。
こんな不安は、ありませんか
週3回、真面目に練習に通っている。なのに、プレーが変わった気がしない。試合を見ても、目立った活躍があるわけではない。このまま続けて、本当に伸びるのだろうか——。
お子さんのサッカーを真剣に見ている保護者の方ほど、この不安を経験します。それは自然なことです。そして、その「変化が見えない時期」にこそ、大事なことが起きている——それがこのコラムでお伝えしたいことです。
成長は、一直線ではありません
私たちは「練習した分だけ、毎週少しずつうまくなる」というイメージを持ちがちです。ところが、実際の選手の成長はそうは進みません。長いあいだ停滞しているように見えて、ある日、まとまって変わる。伸びて、止まって、ときには下手になったように見えて、また急に伸びる。そういう進み方をします。
水を沸かすところを想像してみてください。99度まで、見た目はほとんど変わりません。ぐらぐらと沸き立つのは100度になった瞬間です。でも、99度までの加熱が無駄だったわけではありません。見えないところで、熱はずっと積み上がっていました。火を止めなければ、必ず沸きます。
停滞に見える時期に、積み上がっているもの
福岡南ユナイテッドの練習では、選手は毎回、答えを教えられる代わりに、自分で観て、考えて、試します。試せば、失敗します。失敗が増えている時期は、外から見ると「下手になった」ようにさえ見えます。
でも、その失敗は、いままでできなかったことに挑戦している証拠です。得点や勝敗のような目に見える結果の下で、観る範囲、判断の速さ、立ち位置、味方との関わり方——目に見えにくい変化が積み上がっています。
実際に、こんなことが起きました
1期生のチームは、発足からしばらく、後ろからボールをつなぐことがほとんどできませんでした。チームとしてもかみ合わない時期が続き、正直、停滞に見えたと思います。
変化は、まとめて来ました。教えていない連携プレーが試合に自然に現れる。ポジションの修正やサポートのタイミングが、指示なしに揃いはじめる。仲間同士で振り返りを始める。「やらされる」から「自分たちで解決する」へ、チームがまるごと切り替わったような変化でした。
一人ひとりの選手にも、同じことが起きています。何ヶ月も変わらないように見えた選手が、ある時期から急に、判断の速さも、プレーの選択肢も変わる。私たちはこの光景を、何度も見てきました。
保護者の方に、お願いしたいこと
結果ではなく、挑戦を聞いてみてください。「今日、勝った?」の代わりに、「今日、何を試した?」と。この年代の選手は、自分が何に挑戦しているかを、意外なほど自分の言葉で話せます。そしてその挑戦こそが、いま積み上がっている「見えない変化」の中身です。
そして、変化が見えない時期に、焦らないでいてほしいのです。伸びていないように見える時期は、やめたくなる時期でもあります。でも、その時期が変化の直前だったということを、私たちは何度も経験してきました。
だから、結果と評価を分けています
福岡南ユナイテッドが、選手を勝敗ではなく「何を観て、どう判断し、次にどう変わろうとしたのか」で評価するのは、この成長の性質を知っているからです。見えない時期の積み上げを、試合結果だけで測ることはできません。だからこそ、その過程を育成レポートとして言葉にして届けています。
変化の途中を、見に来てください。
週3回のいつもの練習を、いつでも開放しています。
保護者の方だけの見学も歓迎です。
