2027年度 新中1(現小6)練習体験・見学 受付中

エコロジカル・アプローチとは何か

福岡南ユナイテッドの練習の土台になっている考え方を、保護者の方に向けて、できるだけ普通の言葉でお伝えします。

聞き慣れない言葉だと思います

エコロジカル・アプローチ。初めて聞く方がほとんどだと思います。難しそうな名前ですが、中身はシンプルです。そして、私たちの練習づくりは、次の一文から始まっています。

答えは、コーチの中にはない。
それぞれの選手の中に、チームの中に、そしてプレーの中にある。

一言でいうと

選手に答えを教える代わりに、選手を取り巻く「環境」——コートの広さ、ルール、人数、使うボール——を設計することで、選手のからだとあたまが自然に適応し、学んでいくことを引き出す。それがエコロジカル・アプローチです。

「エコロジカル」とは「生態学的」という意味です。生き物が環境に適応しながら育つように、選手もまた、与えられた答えではなく環境との関わりの中で育つ。そういう見方をする指導法です。

教えたほうが早そうなのに、なぜ教えないのか

「正解を教えて、反復させたほうが早いのでは」。もっともな疑問だと思います。実際、教えられた答えは、教えられた場面ではうまくいきます。お手本を見せて、反復して、修正する。この方法で身についたプレーは、同じ場面がくれば再現できます。

問題は、試合には同じ場面が二度と来ないことです。相手も、味方も、ボールの位置も、毎回少しずつ違う。「この場面ではこうする」という暗記は、場面が少し変わっただけで使えなくなります。練習ではできるのに試合になるとできない——多くの選手が経験するこの現象は、選手のせいではなく、練習と試合が別のものになっていることが原因です。

だから私たちは、答えそのものではなく、答えの見つけ方が育つ環境をつくります。覚えた答えは場面が変わると使えませんが、自分で答えを見つける力は、どんな場面にも持っていけるからです。

具体的には、こんな練習です

練習の条件を、毎回変えます。コートの広さ、タッチ数、ゴールの数。ときには小さなボールや、不規則に跳ねるラグビーボールも使います。条件が変わるたびに、昨日の正解が今日は通用しなくなる。選手は毎回、新しい解決策を探しはじめます。

目的だけ伝えて、方法は選手に任せます。「相手に読まれないように前進しよう」と目的は共有しますが、どうやって前進するかはコーチが決めません。答えはひとつではなく、選手の数だけあります。

練習の途中で、選手同士が話し合います。コーチが答え合わせをするのではなく、「いま何が起きているか」「次どうするか」を選手が話します。試合中、ピッチで決めるのは選手だからです。

実際に、何が起きたか

1期生は、入団した頃、後ろからボールをつなぐことがほとんどできませんでした。正直に言えば、コーチが答えを教えたくなる場面は何度もありました。それでも環境を設計し、選手が見つけるのを待ち続けました。

すると、コーチが教えていない連携プレーが、試合に現れはじめました。ポジションの修正やサポートのタイミングが、指示なしに揃いはじめました。選手たちが自分たちで攻撃の形をつくり出すようになったのです。私たちも予想していなかった解決策が、いまも試合のたびに生まれています。

正直に言うと、時間はかかります

即効性だけを見れば、教え込むほうが早いです。ただ、教え込まれたプレーは短期では再現しやすい一方で、頭打ちしやすい。自分で見つけた答えは、身につくまで時間がかかる一方で、新しい場面でも使えて、伸び続けます。私たちは後者を選んでいます。

この考え方は世界の育成研究で注目されていますが、実際の練習に本格的に取り入れているクラブは、国内ではまだ多くありません。だからこそ、成長が見えにくい時期に不安になる保護者の方もいると思います。その時期に何が起きているのかは、もう一つのコラムに書きました。

この練習は、見てもらうのが一番早いです。

週3回のいつもの練習を、いつでも開放しています。
保護者の方だけの見学も歓迎です。